この記事では、高気密高断熱の住宅ハウスメーカーをランキング形式で紹介します。
高気密高断熱住宅なら外気温の影響を受けずに室内の温度を保つことができるので、屋内では快適さを保ちつつ省エネ効果を期待できるというメリットがあります。
しかし実際に断熱性能と言われる外皮平均熱貫流率(UA値)・熱損失係数(Q値)・すきま相当面積を示す気密性能(C値)を他社と比較してみると、高気密高断熱と謳っていても数値が低い場合があるので注意が必要です。
- 外皮平均熱貫流率(UA値)・・・壁・窓・天井・床全体からの熱の逃げにくさを表す値
- 熱損失係数(Q値)・・・住宅全体からの熱の逃げにくさを表す値
- すきま相当面積(C値)・・・住宅全体の隙間の大きさを表す数値
断熱性能(UA値)・熱損失係数(Q値)・気密性能(C値)は数値が小さいほど性能が高いのですが、そもそも公表していないハウスメーカーも多いので注意。
高気密高断熱の暖かい家を作るなら、各ハウスメーカーでそれぞれの数値を比較し判断する必要があります。
今回は、一級建築士監修のもと高気密高断熱のハウスメーカーをUA値、Q値、C値の数値を元にランキング形式で発表します。
ちなみに
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実際に目で見るとかなり家づくりのイメージが湧くので、せっかくならお土産(Amazonチケット)が貰える一石二鳥なハウスメーカー巡りを楽しんでください!
↓
- 資格:一級建築士
- 仕事:元ゼネコン設計部
- 学歴:京都大学大学院工学研究科建築学専攻 修了
- 趣味:ハウスメーカー巡り
高気密高断熱のハウスメーカーランキング!UA値も紹介!一級建築士監修【2024年最新】
高気密高断熱のハウスメーカーを一級建築士監修のもと調査した結果、ランキングは以下のようになりました。
順位 | ハウスメーカー | UA値 (W/㎡•K) | Q値 (W/㎡•K) | C値 (㎠/㎡) |
---|---|---|---|---|
1位 | 一条工務店 | 0.25 | 0.51 | 0.59 |
2位 | アイフルホーム | 0.27 | 0.70 | 0.51 |
3位 | 住友林業 | 0.36 | 1.91 | – |
4位 | 三井ホーム | 0.39 | 1.61 | – |
5位 | ミサワホーム | 0.39 | 1.80 | – |
6位 | セキスイハイム | 0.54 | 1.60 | 2.0以下 |
7位 | ダイワハウス | 0.55 | 2.19 | – |
8位 | 積水ハウス | 0.60 | 2.4 | – |
9位 | ヘーベルハウス | 0.60 | 2.7 | – |
10位 | トヨタホーム | 0.70 | 1.86 | 2.8 |
※地域によって数値は異なる
UA値は住宅全体からの熱の逃げにくさを表す数値で、数値が小さいほど断熱性が高いということになります。
ZEH基準ともなっているUA値0.6以下であれば、かなり高性能な断熱性能を期待できます。
UA値の基準は地域によって差があり、国土交通省による住宅における外皮性能によってその数値が詳しく定められています。
東京等中心部(5・6・7地域)では省エネ基準で0.87、ZEH基準(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)で0.6であり、寒冷地にもなると1・2地域(札幌等)で省エネ基準が0.46、ZEH基準で0.40と高く設定されています。
ZEH(ゼッチ)住宅は家のエネルギー収支をプラマイゼロ以下にする高い住宅性能を備えた住宅なので、その基準値はさらに高く設定されています。
また気密性を表すC値は1㎠/㎡(ハガキ半分相当)未満であれば高気密住宅であると言えるので、選んだハウスメーカーの住宅が高気密高断熱か調べる時にはC値の数値も気にする必要があります。
但しC値については公表していない(測定していない)ハウスメーカーも多いため、家を建てる予定の地域の基準値を調べた後に各ハウスメーカー毎にUA値・Q値・C値を問い合わせるのが確実ですね。
高気密高断熱のハウスメーカーランキング第1位:一条工務店(UA値0.25,Q値0.51,C値0.59)
高気密高断熱のハウスメーカーランキング第1位は一条工務店です。
一条工務店の「i-smart」は全地域でUA値0.25(W/㎡•K)と圧倒的な断熱性能を誇ります。
一条工務店は外壁から天井・床まで家全体を高性能断熱材で包み込む「外内ダブル断熱構法」で高い断熱性・省エネ性を実現し、夏は日射や熱気から家を守り冬は外気をシャットアウトするので冷暖房が効きやすいというメリットがあります。
季節を問わず一年を通して外気の影響を受けにくいため「全館床暖房」を設置しても省エネで実現できるのが嬉しいポイントです。
一条工務店は特にQ値(熱の逃げにくさを表す数値)が国の基準の5倍の性能を誇り、業界最高の断熱性です。冷暖房費が6分の1になるのはメリットが大きいですね。
また気密性につても業界最高水準である0.59㎠/㎡を誇り、高精度な隙間のない家が実現できます。
高気密高断熱を謳うハウスメーカーの中でもトップレベルの性能と言えるでしょう。
高気密高断熱のハウスメーカーランキング第2位:アイフルホーム(UA値0.27,Q値0.7,C値0.51)
高気密高断熱のハウスメーカーランキング第2位はアイフルホームです。
UA値は1〜3地域で0.27(W/㎡•K)、4〜7地域で0.32(W/㎡•K)と一条工務店には及ばないもののかなりの高断熱性能が期待できます。
世界最高レベルの0.020W/(m・K)を誇る高性能断熱材HQP(フェノールフォーム)を採用し、断熱性能も最高レベル。
また気密性能については平均0.51㎠/㎡という業界最高水準を誇っており、建築後に気密測定を実施した「性能報告書」を提供するサービスがあります。
自分の家が本当に気密性が高いのかは調べる余地がないので、目に見えて分かる数値の報告書がもらえるのは嬉しいです。気密性の高さに自信があるからこそできるアイフルホームならではのサービスですね!
高気密高断熱のハウスメーカーランキング第3位:住友林業(UA値0.36,Q値1.91,C値なし)
高気密高断熱のハウスメーカーランキング第3位は住友林業です。
UA値は1〜2地域で0.36(W/㎡•K)、3地域で0.40(W/㎡•K)、4〜7地域で0.41(W/㎡•K)と高い水準での高断熱性能が期待できます。
住友林業では天井から外壁、床下に至るまでそれぞれ適切な断熱部材を選定し高い断熱性能を実現。
断熱材を旧省エネ基準の家の壁は約5倍、床は約7倍の厚さにすることで光熱費削減も可能としています。
尚住友林業では標準では気密測定を実施しておらず、気密性を表すC値も保証・公表をしていません。
有料にはなるものの、施主の希望で気密測定はできますが平均して0.6~1㎠/㎡と言われています。1㎠/㎡でハガキ1枚分の隙間なので住友林業は十分な気密性があると判断して良いでしょう。
高気密高断熱のハウスメーカーランキング第4位:三井ホーム(UA値0.39,Q値1.61,C値なし)
高気密高断熱のハウスメーカーランキング第4位は三井ホームです。
三井ホームはアルゴンガス入り高遮熱Low-E複層ガラスをはじめ、環境にも優しいオリジナル屋根断熱構造材ダブルシールド(DS)パネルを標準仕様で採用し、UA値0.39(W/㎡•K)という高い断熱性能を有しています。
外壁にも一般的なグラスウールより約1.3倍も断熱性が高い「ロックウール」を採用したことで、耐水性・耐火性・施工性にも優れています。
また気密性の高いプレミアム・モノコック構法(ツーバイシックス)で外気温の影響をほとんど受けない超高断熱化を実現しました。
2×6(ツーバイシックス)ウォールにより従来の約1.6倍の断熱材が充填されたことで高い断熱性を実現しています。
尚三井ホームも標準では気密測定を実施しておらず、気密性を表すC値も保証・公表をしていません。
しかし施主の希望で気密測定をしたところ、平均で0.45〜0.9(㎠/㎡)という高い数値が示されているため三井ホームの気密性は十分に高い水準であると言えます。
高気密高断熱のハウスメーカーランキング第5位:ミサワホーム(UA値0.39,Q値1.8,C値なし)
高気密高断熱のハウスメーカーランキング第5位はミサワホームです。
ミサワホームは標準仕様(基本構造+高断熱サッシ)でZEH断熱基準に対応しています。
木の断熱性能を生かしつつ、グラスウールの断熱材を用いた木質パネルでUA値は標準仕様で0.51(W/㎡•K)、高断熱仕様で0.39(W/㎡•K)という高い断熱性能を実現しています。
尚ミサワホームも標準では気密測定を実施しておらず、気密性を表すC値も保証・公表をしていません。
気密測定は有料ですが可能です。実施した平均値は0.7~0.9(㎠/㎡)であるとの情報があるため、十分に高気密なハウスメーカーであると言えるでしょう。
高気密高断熱のハウスメーカーランキング第6位:セキスイハイム(UA値0.54,Q値1.60,C値2.0以下)
高気密高断熱のハウスメーカーランキング第6位はセキスイハイムです。
セキスイハイムのモデルプラン(標準仕様)によるUA値は0.54(W/㎡•K)であり、比較的高い断熱性能があると言えます。
外壁・天井には高性能グラスウール16Kを採用し、窓ガラスにはLow-Eペアガラスを採用するなど高い断熱性を意識した構造躯体となっています。
また気密性を表すC値は2.0(㎠/㎡)以下をセキスイハイムの基準としており、それ以下の数値が出た場合(2.0(㎠/㎡)以上)は改善した上で気密測定をやり直してくれます。
気密測定を全棟で実施しC値を公表してくれる点はとても信用が置けますね!
C値は平均して1.6~1.9(㎠/㎡)であり、セキスイハイムの気密性はハガキ2枚程度で十分な気密性であると言えます。
高気密高断熱のハウスメーカーランキング第7位:ダイワハウス(UA値0.55,Q値2.19,C値なし)
高気密高断熱のハウスメーカーランキング第7位はダイワハウスです。
ダイワハウスは公式HPにUA値の記載はありませんが、ZEH仕様住宅であるスマ・エコゼロエナジーを採用しているためUA値は0.6(W/㎡•K)以下という高断熱仕様であることが分かります。
ZEH基準を満たすUA値は地域によって異なりますが、ZEH基準の最大値が0.6(W/㎡•K)であるためダイワハウスはそれ以下であると言えます。
「外張り断熱通気外壁」を採用しており、構造体の外側に断熱材を入れることで家全体を断熱材で包み込んでいます。
ダイワハウスは標準仕様でZEH基準を満たしていますが、ハイクラスV断熱仕様やエクストラV断熱仕様のオプションを選択することによってさらに数値を高めることが可能です。
また気密性能(C値)についても正確な数値の公表はありませんが、1.0~2.0(c㎡/㎡)程度であるため十分に高気密住宅であると言えるでしょう。
高気密高断熱のハウスメーカーランキング第8位:積水ハウス(UA値0.60,Q値2.4,C値なし)
高気密高断熱のハウスメーカーランキング第8位は積水ハウスです。
積水ハウスは標準仕様でZEH基準であるUA値0.6(W/㎡•K)以下を満たす高断熱住宅となっています。
また熱が逃げやすい窓に積水ハウスの「SAJサッシ(超高断熱アルミ樹脂複合サッシ)」を採用することにより、業界最高水準の断熱性能を実現しています。
気密性を示すC値の数値の公表はありませんが、気密測定の結果1.4~1.5(c㎡/㎡)程度だったという情報から積水ハウスの気密性は十分に高いと言えるでしょう。
高気密高断熱のハウスメーカーランキング第9位:ヘーベルハウス(UA値0.60,Q値2.7,C値なし)
高気密高断熱のハウスメーカーランキング第9位はヘーベルハウスです。
ヘーベルハウスは2階建住宅であればZEHの高断熱基準であるUA値0.6(W/㎡•K)以下を全棟でクリアしている高断熱住宅となっています。
(但し、3・4階建てになるとわずかにプランや仕様追加が必要な場合があります。)
ヘーベルメゾンの断熱設計は断熱層を形成する二重構造の「ヘーベルシェルタードダブル断熱構法」を採用。
一般的なコンクリートの約10倍の断熱性能を持ち、暑さや寒さから部屋を守って快適な空間を作ることができます。
気密性を示すC値の数値の公表はありませんが気密測定の結果2.0(c㎡/㎡)程度であることから、ヘーベルハウスの気密性は十分にあると言えるでしょう。
高気密高断熱のハウスメーカーランキング第10位:トヨタホーム(UA値0.70,Q値1.86,C値2.8)
高気密高断熱のハウスメーカーランキング第10位はトヨタホームです。
トヨタホームは標準仕様(6地域)でUA値が0.70(W/㎡•K)となっており、平均レベルの断熱性能があると言えます。
トヨタホームは断熱性を高める技術として「充填断熱工法」を採用しています。
基礎断熱によって外気温の影響を極力下げ、全館空調システムの「スマート・エアーズ」によって快適な空間を保ちます。
一方気密性についてメーカー公表値はありませんが、C値で2.8(c㎡/㎡)となっています。
1㎠/㎡(葉書半分相当)未満のハウスメーカーが多数ある中で、決して高い数値ではないと言えます。
トヨタホームは平均レベルの高気密高断熱住宅であると言えます。全館空調システムの評価が高いため、快適な暮らしは送ることができますよ。
高気密高断熱のハウスメーカーの気になるQ&A
- 高気密高断熱のハウスメーカーの判断基準は?
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高気密高断熱住宅か判断するには、断熱性能UA値と気密性C値の数値を比較する必要があります。国土交通省によるとZEH基準であるUA値0.6以下は省エネ性能を評価できるとしているため、標準仕様でUA値0.6以下を満たす住宅は高断熱住宅であると言えます。またC値は1㎠/㎡未満(ハガキ半分相当)であれば気密性の高い家であると言えます。
- 高気密高断熱のハウスメーカーのメリットは?
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ZEH基準であるUA値0.6以下を満たしている住宅は省エネ効果で冷暖房費の節約につながり、ヒートショック予防等のメリットもあります。一方標準仕様でZEH基準を満たさない場合は断熱性能を高めると仕様変更する必要性があり建築コストが上がる可能性があります。
高気密高断熱のハウスメーカーランキングまとめ【2024年最新】
今回は、一級建築士監修の元、高気密高断熱のハウスメーカーランキングを紹介しました。
各ハウスメーカーが公表しているUA値・Q値・C値や既に利用した人の測定数値により、ランキングは以下のようになりました。
- 第1位:一条工務店(UA値0.25、Q値0.51、C値0.59)
- 第2位:アイフルホーム(UA値0.27、Q値0.7、C値0.51)
- 第3位:住友林業(UA値0.36、Q値1.91、C値なし)
- 第4位:三井ホーム(UA値0.39、Q値1.61、C値なし)
- 第5位:ミサワホーム(UA値0.39、Q値1.8、C値なし)
- 第6位:セキスイハイム(UA値0.54、Q値1.60、C値2.0以下)
- 第7位:ダイワハウス(UA値0.55、Q値2.19、C値なし)
- 第8位:積水ハウス(UA値0.60、Q値2.4、C値なし)
- 第9位:ヘーベルハウス(UA値0.60、Q値2.7、C値なし)
- 第10位:トヨタホーム(UA値0.70、Q値1.86、C値2.8)
高気密高断熱住宅のハウスメーカーを選ぶことで、省エネにもなり毎日の生活も快適になります。
標準仕様で既に高気密高断熱の数値が良いハウスメーカーと仕様追加によって数値が良くなる(=費用がかかる)ハウスメーカーがあるので、気になるハウスメーカーがあれば実際に出向いて問い合わせたり、資料請求をしてしっかりと情報を精査してください。
元建設会社の設計部で意匠設計に携わっていた一級建築士。現在は集合住宅や商業施設などの企画・設計を担当する傍ら、ハウスメーカーや建築サイトの記事設計や監修・運営業務も行う。ZEH(ゼッチ)(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)やCASBEE(建築環境総合性能評価システム)といった省エネ基準にも精通しており、専門的な知見から記事を執筆している。