この記事では、住友林業で気をつけること8選を一級建築士が解説します。
木についてならどこにも負けないスペシャリスト「住友林業」は業界でもかなりのハイブランドです。
性能もデザインも一流の住友林業で、契約する前に気をつけることをまとめました。
大手ですし坪単価も高いので、初めて家を建てる人は特に不安や緊張感がありますよね。失敗や後悔がないように、しっかりチェックしていきましょう。
住友林業の特徴や考え方を紹介しつつ、意外な弱点も解説していきます。
気をつけることと合わせて検討して、納得したうえで契約をしましょう!
ちなみに
僕もハウスメーカー巡りは何社もしましたが、全てこちらの「持ち家計画」から申し込みました。
来場した分だけ5000円分のAmazonチケットがもらえるので、気になるハウスメーカーはここから全て回りましたよ。
実際に目で見るとかなり家づくりのイメージが湧くので、せっかくならお土産(Amazonチケット)が貰える一石二鳥なハウスメーカー巡りを楽しんでください!
↓
- 資格:一級建築士
- 仕事:元ゼネコン設計部
- 学歴:京都大学大学院工学研究科建築学専攻 修了
- 趣味:ハウスメーカー巡り
住友林業で気をつけること8選を一級建築士が厳選しました
早速住友林業で契約する前に気をつけることを見ていきましょう。
「知らなかった」「準備してなかった」など後から焦らないために気をつけることは次の8つです。
- 申込金として5万円必要
- 申込金以外にも諸費用が必要
- オプションには別途12%の諸費用がかかる
- 施主支給ができない場合がある
- 無垢材はすべてに標準装備ではない
- 扉・階段に見切り材がある
- 苦手な仕様がある
- 保証期間中でも有料になる場合がある
予算に関係るすることも多いので、突然の出費を防ぐためにも事前に知っておきましょう。
住友林業で気をつけること①申込金として5万円必要
住友林業では申込金として5万円を支払うことになっています。
敷地調査費として使われる分で、契約前に必ず必要なお金です。
契約が成立したら総額から引かれるので、結果的に敷地調査費がタダということになります。他のメーカーは倍以上の敷地調査費が必要なので、むしろお得です。
敷地調査をした上でプランを考えるので、申込金を支払わないと見積もりや間取りの提案は受けられません。
もし契約が成立しなかった場合は返金されませんので、あらかじめ注意して下さい。
住友林業で気をつけること②申込金以外にも諸費用が必要
住友林業では本契約する際に契約金として100万円が必要になります。
さらにこの時必要な印紙代として1〜3万円も用意しなくてはなりません。
契約金100万円は現金またはカード決済で支払い可能です。ただ、工事手付金として預ける形になるのであとで返金されます。住宅ローンに充てることもできますし、銀行振込で返金して貰う方法もあります。
手付として支払うにしても本契約の時に絶対必要なお金ですので、必ず準備して下さい。
住友林業で気をつけること③オプションには別途12%の諸費用がかかる
住友林業ではオプションを採用する際には別途12%の諸費用がかかります。
工事費用に加えて12%も上乗せされさらに消費税もかかるので、その金額はばかになりません。
諸費用の理由として住友林業側は「設備や部材の管理や保管にかかる経費」としているようです。以前は「きこりん税」と呼ばれていましたが、現在そのような表記はありません。
【例えばオプション工事費が100万円だった場合】
工事費100万円+(12%分)12万円+(消費税10%分)1万2千円=113万2千円
造作家具や外構がオプションの対象になりますが、頼まなければかからないコストなので心配いりません。
住友林業で気をつけること④施主支給ができない場合がある
住友林業で提携していないメーカーの設備は、施主支給を申し出ても出来ない場合があります。
責任の所在が曖昧になるのと、住友林業で設備の保証が出来ないという理由のようです。
施主支給とは、建てる人が直接設備を仕入れ住友林業に支給する形で取り付けてもらうことです。好きなメーカーの設備を選べたり金額が安く済むメリットがあります。
特に水回りの設備に関しては厳しく、故障した際にトラブルになりやすいからでもあります。
ただ、提携しているメーカーなら別モデルを取り寄せることは可能ですし保証も効きますよ。
住友林業で気をつけること⑤無垢材はすべてに標準装備ではない
住友林業は木のスペシャリストですが、すべてにおいて無垢材標準装備されているわけではありません。
LDKのあるワンフロアのみが無垢材の標準仕様内で、ほかは挽き板か突板になります。
それでも無垢材が標準仕様なハウスメーカーは他にありませんし、選べる床材が豊富なのもすごいことなんですよ。
床暖房を入れる場合も無垢材ではなく、床暖房対応の挽き板が採用されます。
さらにドアなどの建具や造作家具も無垢材ではありませんので、事前にチェックが必要です。
住友林業で気をつけること⑥扉・階段に見切り材がある
住友林業では、扉部分や階段の壁にできる見切り材をなくすことが基本的にできません。
デザインによっては悪目立ちするので見た目が良くないのです。
具体的には床材が替わる引き戸の部分や、1階と2階でフロアが切り替わる階段の壁にあります。
見切り材とは、素材やフロアの切り替わる部分に使う仕切りのようなものです。階段部分は特に幕板(まくいた)と呼ばれ、色や太さによっては目に付きます。他のメーカーでは見切り材無しですっきりさせることもできるので、ちょっと気になる点でもありますよね。
幅の薄いものにしたり素材をなるべく近いものにするなど、工夫が必要です。
施工担当の了承があればなくすこともできる場合がありますが、保証適用外となってしまいます。
住友林業で気をつけること⑦苦手な仕様がある
木造住宅でありながら自由度の高い設計が可能の住友林業ですが、苦手なこともあります。
ビッグコラムと呼ばれる太い柱に変化を与えるような間取りはできません。
ビッグコラムとは、住友林業の構法・ビッグフレーム構法を可能にする通常の5倍の幅の大断面集成柱のことです。この柱で強靭な耐震住宅を支え、木造住宅では他にない大空間を実現できるのです。
耐震性を保証できなくなるような柱の移動やエアコンなど家電の設置と配管、コンセントやスイッチの設置もできません。
また断熱材が地域ごとに決まっているので、高断熱にグレードアップすることも難しいです。
住友林業で気をつけること⑧保証期間中でも有料になる場合がある
住友林業の保証期間は初期保証が30年で、最大60年まで延長できます。
延長する場合は10年ごとに有料メンテナンスが必要です。
次の場合は保証期間中であっても対象外となりますので注意して下さい。
- 自然故障ではない場合
- 災害によるものは保険での対応
- 汚れによる外壁の再塗装
- どうしても施主支給した設備
- 了承済みでなしにした見切り材なしの壁など
万が一故障した時は費用がかかりますし、依頼する業者も住友林業以外の場合があります。
もしもに備えて、保証の条件などをしっかり把握しておきましょう。
住友林業で気をつけたいその他の弱点
モダンなデザインと木の良さを最大限に引き出した家づくりで人気の高い住友林業ですが、弱点もあります。
極端に劣るわけではありませんが、「そこにこだわりたい!」と言う人にはデメリットになるポイントです。
それでは一つずつ解説します。
①性能面
住友林業は木造住宅のみのハウスメーカーなので、鉄骨住宅には対応できません。
四季を活かし日差しや風の流れを計算して快適さを追求するので、断熱・気密に関しては平均レベルになります。
全館空調はオプションで出来ますが、採用率はあまり高くありません。
蓄電や太陽光発電に関してもあまり力を入れていないので、省エネや災害対策の面でも高性能とは言えません。
- ハイレベルな断熱性能にこだわりたい
- 四季を感じるより年間通して一定した室内環境を保ちたい
総合的な災害には他のメーカーより突出している面はないものの、一番起こる可能性の高い地震に関してはかなり強いハウスメーカーです。専門の研究所で耐震性や木の性能を研究しているので、エビデンスもしっかりしていますよ。
②メンテナンス面
木にこだわりを持つ住友林業は、経年美化や経年優化といった概念を持っています。
手をかけながら使い続けることを推奨しているので、メンテナンスの手間とコストがかかるのが弱点です。
シロアリ対策で10年ごとに薬剤を注入する作業や、床材にオイルを塗るなども定期的に必要となります。
お手入れを楽しみとする人にはいいですが、考え方が違う人にはマイナスポイントと言えますね。
- 建てた後はあまり手間をかけたくない
- 建てた後のコストはなるべく抑えたい
保証期間もあるので安心ですし、住友林業自体木材の世界的商社なので倒産の心配もありません。相談しながら長いお付き合いができるという点ではしっかりしたハウスメーカーですよ。
③金額面
業界でもトップクラスの提案力を誇る住友林業は、聞けば聞くほど家づくりが楽しくなります。
あれこれ取り入れたくなってしまい、気づいたら大幅に予算オーバー!という人も結構いるんですよ。
家だけでなく家具にもこだわりたくなるので、予算は多めに見ておいた方が安心です。
「せっかく住友林業で建てるんだし」とこだわり過ぎると後で慌てることになりますのでほどほどにしましょう。
- とにかくなるべく金額を抑えたい
- 狭小地や密集地に建てるので外構にこだわれない
間取りなどでコストを抑えたい人にはForest Selection BFという規格住宅のプランがあります。1000以上の間取りの中から選んでいくものです。床材などにこだわりつつ予算を抑えたいという人にはおすすめのプランですよ。
住友林業で気をつけること8選を一級建築士が解説まとめ
今回は住友林業で気をつけること8選を一級建築士が解説してきました。
気をつけることをまとめたのがこちらです。
- 申込金として5万円必要
- 申込金以外にも諸費用が必要
- オプションには別途12%の諸費用がかかる
- 施主支給ができない場合がある
- 無垢材はすべてに標準装備ではない
- 扉・階段に見切り材がある
- 苦手な仕様がある
- 保証期間中でも有料になる場合がある
非常にブランド力の高い住友林業ですが、それだけに事前に気をつけることはいろいろありましたね。
契約前から費用がかかるものもありましたが、それだけの価値がある提案やスキルを提供してくれます。
性能を保証できないものに関しては商品を提供しないというプライドは、信頼感にもつながることです。
良い面や弱点を見極めたうえで、納得の決断をしてくださいね。
元建設会社の設計部で意匠設計に携わっていた一級建築士。現在は集合住宅や商業施設などの企画・設計を担当する傍ら、ハウスメーカーや建築サイトの記事設計や監修・運営業務も行う。ZEH(ゼッチ)(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)やCASBEE(建築環境総合性能評価システム)といった省エネ基準にも精通しており、専門的な知見から記事を執筆している。