この記事では、住宅展示場に行ってはいけない8つの理由を一級建築士が解説します。
家を建てようと思っていざネットで調べると、「住宅展示場 行ってはいけない」というのを目にします。
とりあえずわからないことはプロに聞けるし、一度に何社も比較できるのになんで?って思いますよね。
まったく予備知識を持たず住宅展示場に行くのは、実はベストな方法ではないんです。
住宅展示場はハイグレードなモデルハウスを見てもらい、憧れや特別感の中で商談する場所です。そんな雰囲気の中で主導権はハウスメーカー側にあるので、流されてしまうと後悔することにもなりかねません。
「初心者がふらっと行くとカモにされる」と言うのを耳にすると、ちょっと心配になってしまいます。
そこで、住宅展示場に行く前にやっておいたほうがいいこともまとめてみました。
家づくりの最初の一歩を間違えないために、一級建築士が丁寧に解説していきますね。
ちなみに
僕もハウスメーカー巡りは何社もしましたが、全てこちらの「持ち家計画」から申し込みました。
来場した分だけ5000円分のAmazonチケットがもらえるので、気になるハウスメーカーはここから全て回りましたよ。
実際に目で見るとかなり家づくりのイメージが湧くので、せっかくならお土産(Amazonチケット)が貰える一石二鳥なハウスメーカー巡りを楽しんでください!
↓
- 資格:一級建築士
- 仕事:元ゼネコン設計部
- 学歴:京都大学大学院工学研究科建築学専攻 修了
- 趣味:ハウスメーカー巡り
住宅展示場はカモにされるから行ってはいけないって本当?
家を建てるためにイメージをつかんだり情報を集める方法として、真っ先に思い浮かぶのは住宅展示場ですよね。
各ハウスメーカーのモデルハウスを見て回ったり、カタログをもらうのが手っ取り早いと思うのはわかります。
でも何も準備せず「とりあえず行ってみよう!」は危険です。
なぜなら、知識や情報のない人は営業マンにとって「契約を取りやすい相手」なのでカモになってしまいます。
住宅展示場は、家を売るプロが自社の商品を売るためにモデルハウスで出迎える場所です。
百戦錬磨の営業マンはあっという間にあなたとの距離を縮め、購買意欲をそそるテクニックにも長けています。
話の上手さと雰囲気に飲まれ、そのまま成り行きで契約してしまうなんてことも結構あるんですよ。
自分の要望や他社との比較などすっかり忘れ、カモにされないように注意しましょう。
住宅展示場に行ってはいけない8つの理由
それではここから住宅展示場に行ってはいけない理由8つを解説していきます。
- 選択肢が狭まる
- 結局参考にならない
- 営業担当者を選べない
- 紹介制度が利用できなくなる
- 個人情報から値踏みされる
- 営業攻勢が始まる
- 効率が悪い
- 疲れる
何も知識を持たないまま行くとこんなことになるかも!というデメリットばかりです。
嫌な思いをしたり損をしたり後悔しないために、行ってはいけない理由をしっかり理解して下さい。
①選択肢が狭まる
住宅展示場にあるモデルハウスだけで決めようとすると、選択肢が狭まってしまいます。
ここに展示していないハウスメーカーもたくさんあるのに、それを候補に入れずに決めるのはもったいないですよね。
統計によると「住宅展示場で見学したハウスメーカーの中から決めてしまう」という人が半数以上です。見れば欲しくなる気持ちもわかりますが、他の選択肢を探ってみましょう。もっと理想に近い家づくりができるかもしれません。
大手だけでなくミドルコストやローコスト、工務店なども高性能や様々な工夫をこらした家づくりをしています。
自由設計にとことん付き合ってくれる設計事務所や工務店との出会いで、新たなアイデアが浮かぶかもしれません。
他の可能性を切り捨てないためにも、一気に決めようとして住宅展示場に行ってはいけないのです。
②結局参考にならない
住宅展示場のモデルハウスはオプション多めの豪華版なので、リアルに住むイメージづくりの参考になりません。
通路や天井など大きく取り、インテリアもプロがセレクトした最適のものを展示してあります。
一般的に住宅展示場のモデルハウスは複数のお客さんが入っても大丈夫なように広くつくってありますし、商談スペースなども設けてあるので実際住む家とは全然違います。最新で最高の設備を備えてあり、それだけコストもかかっています。
素敵に見せるための工夫が盛り沢山のモデルハウスで高揚感を一気に煽られ、つい契約してしまうのはいけません。
間取りや雰囲気などを見ようと住宅展示場に行っても、結局参考にならないのでやめたほうがいいです。
③営業担当者を選べない
大切な家づくりには優秀な営業マンに担当してほしいですが、住宅展示場だと営業担当者を選べません。
その日たまたま接客した人が、そのまま営業担当になることがほとんどだからです。
お客さんの多くは土日が休みの人なので、優秀な営業マンほど土日は顧客との打ち合わせで予定が埋まっています。
土日に行った時は特に、トップ営業マンに会える可能性は低いです。しかも優秀な人ほどお客さんからの紹介でどんどん依頼がくるので、住宅展示場に行って来客を待つだけの時間などありません。
住宅展示場は契約の取りやすい環境なので、契約件数の少ない営業マンがいたりします。
なるべく提案力のある営業マンに担当してもらうためにも、うかつに住宅展示場に行ってはいけないのです。
④紹介制度が利用できなくなる
実際にそのハウスメーカーで建てた人から営業担当を紹介してもらうのが紹介制度です。
そしてこの紹介制度には特典があり、一度住宅展示場に行ってしまうとその特典を受けられなくなります。
なぜなら、その日接客した営業マンがそのまま担当に決まってしまうことがほとんどだからです。
紹介制度の特典は、値引き・オプションのサービス・家電や家具のプレゼントなどハウスメーカーによって様々です。営業担当が決まった後では利用できないので注意して下さい。
それに人気の営業マンは普段忙しくて住宅展示場にはいないので、紹介でないとなかなか会えません。
だからこそ「とりあえず」とか「思いつき」などで住宅展示場に行ってはいけないんです!
⑤個人情報から値踏みされる
モデルハウスに入る際記入するアンケートで、年収などの個人情報から値踏みされる可能性もあります。
注文住宅のように高い商品を売る営業マンは、売る目的と同時に相手の経済状況を把握するのは当然ですよね。
営業マンにとって人を見分けるのは必要なスキルです。年収だけでなく、見た目や受ける印象から「本気で家を建てたいかどうか」も値踏みされます。
営業マンにとって契約し商品を売ることが目的ですから、確度の高い顧客を選び接客するのが一番効率的です。
「なんとなく適当なあしらいを受けた」と嫌な思いをするくらいなら、住宅展示場には行かないほうがいいですね。
⑥営業攻勢が始まる
アンケートで個人情報を渡してしまうと、怒涛の営業攻勢が始まります。
ちょっとしたことでも営業マンにはヒントになりますから、あらゆる方向から攻めてくることは覚悟しましょう。
住んでいる場所で家賃の相場が予想できるので、今の家賃とローンを比べてお得感を出すのはよく聞きます。年齢や家族構成から将来の間取りの提案をしたり、あったら嬉しいオプションなどどんどん勧められます。
いろんな提案を受けているうちに断りづらい雰囲気になり、なし崩し的に契約してしまったなんて事になりかねません。
押し切られて不本意な家づくりをしないためにも、断り下手な人は住宅展示場に行ってはいけないのです。
⑦効率が悪い
何も決めずに住宅展示場に行くと、無駄に歩き回ってかえって効率が悪いしその割に成果も得られません。
住宅展示場の中を何社もまわり、その都度イメージや予算など同じことを説明するのは無駄な時間です。
目当てのハウスメーカーや予算が決まっていない状態で行くと、希望の金額やほしい性能とかけ離れたメーカーにあたってしまうことも。押しの強い営業マンからはなかなか逃れられないので、どうしても1〜2時間は足どめされますよ。
必要な情報が手に入らないばかりか不要なことに時間を取られるので、タイパが悪すぎです。
無駄足になるパターンが多いので、ターゲットを絞らず住宅展示場に行くのはやめたほうがいいと思います。
⑧疲れる
住宅展示場は1社あたり1〜2時間かかるので、気合を入れて1日中いるとなるとかなり疲れます!
大体の流れは同じなので、アンケート記入・要望の聞き取り・説明を受けながら見学・商談を何度も繰り返すからです。
一度に情報を詰め込みすぎるのも疲れる原因です。それに営業マンに怒涛の営業トークをされ続けると、精神的にも疲労困憊してしまいます。
肉体的な疲労はもちろんですが、気疲れしてへとへとになってしまうパターンが多いです。
何も決まらなくても相当疲れるし思考力も低下してしまうので、無理して住宅展示場に行ってはいけないのです。
住宅展示場に行く前にするべきこと
住宅展示場は、予備知識や事前準備なしに行ってはいけないことは説明しました。
そこでここからは、住宅展示場に行く前にするべきことを5つご紹介します。
- 情報を集める
- 具体的なイメージを持つ
- ハウスメーカーの候補を絞る
- 許容範囲を決めておく
- 質問リストを作っておく
きちんと対策すれば、住宅展示場は有効活用できる場所です。
住宅展示場で営業マンのカモにならないためにも、しっかり準備していきましょう!
①情報を集める
まずは実際依頼した人の口コミ・建設途中の写真・家づくりブログなど、生きた情報を集めてみましょう。
ネットを最大限活用し、ハウスメーカーのサイトだけでなくInstagramやPinterestなどの画像も有効です。
それに、ハウスメーカーによって得意な分野も違います。
価格・デザイン性・住宅性能など、それぞれの特徴をおおまかに把握しておくと便利ですよ。
②具体的なイメージを持つ
どんな家を建てたいのか、具体的なイメージを持つと家づくりもスムーズに進みやすいです。
広さ・間取り・生活動線・キッチンや収納・暑さや寒さ対策など、季節ごとや時間ごとにもイメージしてみて下さい。
暮らし安さのイメージを家族で共有すると、より具体的になって家づくりが楽しくなりそうですね。
モデルハウスよりおすすめなのが「完成見学会(オープンハウス)」です。依頼した人がこれから住む実際の家ですし、サイズ感・質感・必要なオプションなどリアルなイメージづくりにとても参考になりますよ。
③ハウスメーカーの候補を絞る
情報を集め具体的なイメージができたら、それに適したハウスメーカーの候補を絞ることができます。
建てたい家を実現してくれそうなハウスメーカーがわかれば、効率的に住宅展示場をまわれるし情報も得やすいです。
条件に合わないハウスメーカーを外し、話を聞きたいところでしっかり接客してもらいましょう!
④許容範囲を決めておく
盛り込んでもいいオプションや予算など、許容範囲を決めておくのも大事なことです。
家族同士であっても、ほしい設備が違ったり譲れないポイントなどはオプションでカバーできるかもしれません。
そうなった時に無制限に追加すると大変なことになるので、リミットを決めてぐずぐずにならないようにしましょう。
アフターサービスをチェックするのも大切です。保証の範囲でできるメンテナンスは有効に利用しましょう。逆にランニングコストがかかるオプションを避けることで予算をうまく使え、その分他の場所にまわせば満足度も上がります。
⑤質問リストを作っておく
当日住宅展示場で営業マンに聞きたいことは、質問リストとしてまとめておきましょう。
聞きたかったことを忘れたり質問もれを防ぐためにも作っておくと便利です。
あらかじめカタログやネットで情報を集めたら、気になるところをピックアップしてみてください。
【カモ?】住宅展示場に行ってはいけない8つの理由を一級建築士が解説まとめ
今回は【カモ?】住宅展示場に行ってはいけない8つの理由を、一級建築士が解説してきました。
何も準備せずに住宅展示場に行ってはいけない理由8つ、改めてまとめたのがこちらです。
- 選択肢が狭まる
- 結局参考にならない
- 営業担当者を選べない
- 紹介制度が利用できなくなる
- 個人情報から値踏みされる
- 営業攻勢が始まる
- 効率が悪い
- 疲れる
そのために住宅展示場に行く前にするべきことも5つご紹介しました。
- 情報を集める
- 具体的なイメージを持つ
- ハウスメーカーの候補を絞る
- 許容範囲を決めておく
- 質問リストを作っておく
本気で家を建てるなら、ふわっとした気持ちで行ってはいけません。
事前準備をしっかりして得た情報を、住宅展示場で実際見て確かめるくらいの気持ちで行きましょう。
営業マンのペースでつくった家だとあなたの理想から遠くなってしまうかもしれません。
選択も決断もあなた主導でできるように、万全の体制で住宅展示場に行ってくださいね!
元建設会社の設計部で意匠設計に携わっていた一級建築士。現在は集合住宅や商業施設などの企画・設計を担当する傍ら、ハウスメーカーや建築サイトの記事設計や監修・運営業務も行う。ZEH(ゼッチ)(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)やCASBEE(建築環境総合性能評価システム)といった省エネ基準にも精通しており、専門的な知見から記事を執筆している。