この記事では、全館空調はやめた方がいい?という疑問についてお答えしていきます。
「全館空調を導入して後悔してる」「全館空調はやめたほうがいい」など、”いらない”という意見を聞くと迷ってしまいますよね。
最近はどのハウスメーカーも全館空調に力を入れています。でも住む人の要望や生活習慣に合わないと、無駄に思えたり快適でなかったりして導入を後悔したりやめてしまう人もいるんです。
そこで、「全館空調はいらない」という人はどんな理由をあげているのかを調査し、一級建築士の意見も交えて紹介します。
実際のユーザーの声からデメリットを理解して、後悔しない家づくりを目指しましょう!
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↓
- 資格:一級建築士
- 仕事:元ゼネコン設計部
- 学歴:京都大学大学院工学研究科建築学専攻 修了
- 趣味:ハウスメーカー巡り
全館空調はやめたほうがいい?
全館空調はデメリットが多く、やめたほうがいいという意見も少なくありません。
全館空調を取り入れるかどうか決める時も、実際利用した後も賛否両論あります。
やめたほうがいいという理由、まずは全館空調を採用する際のデメリットを見ていきましょう。
全館空調のデメリット
まずは全館空調を採用する際に感じてしまうデメリットとして以下のものが考えられます。
- 初期費用が高い
- 追加費用がかかる
- 場所を取られる
導入する時点ですでに不安材料がある全館空調ですが、ひとつずつ解説していきましょう。
初期費用が高い
全館空調を導入する際の初期費用は、平均で約100万円〜300万円が相場です。
坪数や全館空調システムのレベル、間取りによる配管の複雑さなどによっても差が生じます。
また加湿・除湿・脱臭・個別温度調整など付帯する機能がハウスメーカーによって様々です。
仮に15万円のエアコンを5台設置する場合と比較しても、はるかに高額なのは確かですよね。
追加費用がかかる
あまり知られていませんが、全館空調を導入すると別途建築工事が必要になります。
通常にはない配管や機体設置の空間確保、断熱工事の追加など専門の作業員が必要だったりするためです。
ダクトの曲がりが多いと風量が落ちたりねじれが生じたりするので、後々不具合が出ないよう専用の工事をします。
多くのハウスメーカーはこの費用も合わせて金額を提示しているので、その差を比べてみて下さい。
費用を抑えたい場合は、システムや施工がシンプルなものを選ぶといいですよ。
場所を取られる
全館空調のタイプによっては屋根裏や床下ではなく、居住スペースに本体を設置する場所が必要です。
ダクトの配管や空気循環の問題から、なるべく中央に置くのが効率的とされています。
広さは半畳ほどですが、家づくり全体を考える上では貴重なスペースです。
全館空調をやめた人の中には「このスペースがあれば収納にできたな」と後悔する声もありました。
各フロアごとに設置が必要な場合は間取りに大きく影響しますので、ちょっとデメリットに感じますね。
全館空調で後悔した理由
それでは実際建てた人が「全館空調をいらないと思った」「後悔した」などの理由は何だったのでしょうか。
SNSなどの口コミを参考に、その理由を具体的に10個紹介します。
- 電気代が高い
- メンテナンス費用が高い
- メンテナンスが面倒
- 乾燥が気になる
- 温度調節が難しい
- においが広がってしまう
- 稼働音が気になる
- 修理費用が高い
- 故障したら家中が制御不能
- 虫・ホコリ・カビの心配
生活してみてはっきり感じるデメリットなので、実際の声はとても参考になりますね。
全館空調はいらないかどうか、早速見ていきましょう。
①電気代が高い
まず1つ目は電気代が高いことです。
24時間常に稼働しているので、どうしても電気使用量は高めになってしまいます。
全館空調はやめた方がいいです。実家がヒートショック対策で全館空調にしましたが、夏とか一部屋だけ涼しくしたいのにできないから電気代もバカにならないと…
引用元:X
全館空調のみの電気代は月平均大体8,000円です。
参考までに全館空調を含めた電気代を季節ごとに調べました。
- 4月〜6月・・・約15,000円
- 12月〜2月・・・約35,000円
- 月平均・・・約25,000円
寒冷地など季節によって気温差が大きい地域ではもっとかかる場合があります。
なので、年間を通してそれほど極端に気温差がない地域の人は「いらないのでは?」と考えてしまうのも無理はないですね。
我が家の年間の電気代推移 今年夏頃から全館空調(家全体が年中一定温度)を切って、全部屋エアコン入れてみたけど、電気代が全然安くなった
引用元:X
導入には数百かかるし電気代も高いし、 やってみて結局エアコンでよくね、ってなってます… 住宅に導入予定の方はご参考までに
数百万円のコストを掛けて導入しても、結局やめてしまう人も実際にいます。毎月かかる電気代は後悔する理由としてとても多いです。
またオール電化・太陽光発電なしだと、冬場はかなり高額になってしまいます。
昨日の部屋温度17℃で我慢できず暖房つけたらまさかの1日800円越え
引用元:X
絶叫したわ 前日の4倍よ 全館空調恐るべし
さらに全館空調+オール電化の場合、通常の戸建てより電気の契約アンペアは大きくなります。
全館空調のお宅って何A契約なのか気になって検索したら60~100Aくらいで出てみんなお金持ちだなと……そもそも全館なところでそうなんだけど
引用元:X
「60Aだとブレーカーが落ちる」という口コミも見られ、100Aに上げる人が多かったです。
電力会社によりますが、60Aまでと100Aだと基本料金がかなり違うので家計には大きなダメージになりますよね。
屋内配線工事が別途必要な場合もあり費用もかさむとなると、かなりのデメリットと言えます。
②メンテナンス費用が高い
初期費用に加えてその後継続的にかかってくるのが高いメンテナンス費用です。
- フィルター・・・一枚平均約1,000円〜10,000円
- メンテナンス代・・・年間10,000円〜20,000円
フィルターに関しては給気・排気・換気など用途によって金額に差が出ます。
またPM2.5対応など性能によっても違いますし、一箇所で何枚使われているかもポイントです。
メーカー保証期間中の修理は無料ですが、その後故障が見つかった場合高額になるケースもあります。
全館空調は有償の10年保証に入っていたのに壊れたのはリモコンの基盤くらい(4万円相当)で、大物は保証切れしてから不具合が発見されて。。 合計するとちょっとした輸入車1台買えるくらいになりそうで、マンションみたいに毎月数万円ずつ貯めておけば良かったと後悔してます。
引用元:X
15年〜20年後には本体を取り替える時期になり、100万円前後の費用がかかります。
快適に住み続けるために必要なことですが、戸建住宅のメンテナンスは全館空調だけではありません。
屋根や外壁などのメンテナンスは大きな出費が予想されます。
なるべく計画的にできるように、他の設備を高性能にすることで全体の維持費を抑えることができますよ。
③メンテナンスが面倒
メンテナンスは費用が高いのもデメリットですが、手間だし面倒だという意見もかなり多くありました。
- 最低年1回は定期点検が必要
- 2週間〜1ヶ月に一度は掃除が必要
フィルターの掃除は掃除機でホコリを取り除いたり水洗いする程度ですが、これが隔週ペースだと面倒に感じます。
掃除の他に半年に1度、長いものでは5年に1度フィルター交換する必要もあるので手間の他に費用もかかるのです。
故障を防ぐために、自分ではチェックできない部分はメーカーの人に定期点検してもらわなくてはなりません。
窓掃除頑張った。全館空調の点検で全部屋見られるからこの前片付けてるからほっとして今日どうぞできる
吹き出し口の温度計測やデータ測定、目視による点検など必要に応じて各部屋をまわることもあります。
ハウスメーカーによって違いはありますが、最低でもメイン機材の点検には在宅が必要です。
やっぱり面倒に感じるし、確かにデメリットですね。
④乾燥が気になる
湿度に関しては季節によっても特に顕著で、より具体的な口コミが多かったです。
全館空調めっちゃ快適だけど乾燥えぐい( i _ i )喉痛すぎ
引用元:X
足の指にまでささくれができたという口コミもあって、乾燥が酷いというのはかなりの人が実感していました。
ドライアイ・髪のパサツキ・肌の乾燥・喉の乾燥・唇の乾燥・鼻の痛み
全館空調を止めずにとる対策として、加湿器を購入して稼働させるという方法が多かったです。
ただ全館空調のパワーに勝てないので、業務用加湿器を導入したというユーザーもいました。
寝ている間に乾燥してしまうのでマスクをしている人もいました。他にも乾燥に弱い植物やペットなど、室内環境は緊急かつ重要な問題でとても切実です。
⑤温度調節が難しい
家族間で体感温度が違うと、細かい温度調節が難しいのは大きなデメリットです。
「暑くて寝られない」「寒くて起きてしまう」などは健康にも影響が出ます。
全館空調入ってて個別の部屋にエアコンないの…快適なんだけど赤ちゃん部屋の細かい温度設定に詰む。全館空調だと温度変わるのに時間かかるし。ヒーターみたいなの買った方がいいか??
引用元:X
風邪で寝込んでいる時・部屋でトレーニングした後など個別に温度調節できないのは確かに弱点です。
どんな時でもどんな人にも快適な温度というのはなかなか難しいので、我慢する人や我慢するタイミングが多いと「やめたほうがいい」となってしまいますね。
⑥においが広がってしまう
家中で空気を循環させているので、においが広がって不快になるという意見もありました。
換気がうまくいかないと、部屋干しの洗濯物にもにおいがついてしまいます。
うちも子ども産まれるときに禁煙するって約束したのに、こっそりアイコス吸ってます!しかもトイレの中で!!全館空調だからか、寝室とかにもアイコス臭充満してきて本当不愉快です
引用元:X
外気を給気するので、外からのにおいも家中にまわってしまうというのも後悔する理由として多かったです。
外で何かを燃やしたような臭いが。 全館空調だから、吸い上げてしまったらしくて家の中が煙臭。最悪。 こんな夜から何かを燃やすとか、悪質過ぎる。
引用元:X
においに敏感な人は、リラックスできるはずの家で逆にストレスを感じてしまいます。
全館空調ならではのデメリットですから「全館空調いらない」と思うのも無理はありません。
⑦稼働音が気になる
全館空調システムは常に稼働しているので、どうしてもその音がうるさくて気になるという意見もありました。
特に居住空間に本体スペースがある場合、防音・遮音をしっかりやる必要があります。
10年そこらが寿命で莫大な買い替え費用がかかるし空気が循環するように扉には隙間があってプライバシーはない(扉で他の部屋の音を遮断出来ない)しそもそも本体がクソうるさいし全館空調は完全に失敗だと思ってるけど、頭鳴りの辛さが分からない親はそんなん今更どうしようもないやんって鼻で笑ったわ。
引用元:X
なるべく隣を寝室や勉強部屋にしないようにするなど、間取りにも関係してきます。
機械室の壁は防音対策がとられていますが、全館空調は部屋の各ドアの上下に隙間があるので聞こえてしまうこともあるでしょう。音に敏感で心配な人は、やめたほうがいいかもしれません。
⑧修理費用が高い
保証期間中は無償メンテナンスですが、それをすぎて故障してしまうと修理費用が想像以上に高いです。
ハウスメーカーの保証期間は大体2年〜10年ですので、突然思わぬ出費となる可能性があります。
家の全館空調の定期点検で、冷媒ガスが微量だけど漏れているという指摘。しかもガス漏れ箇所が特定できないとのこと。 11年目だけど、機器の全面入れ替えだとざっくり300万円と言われ震えてる。 部分交換で済めばいいんだけど。。
引用元:X
また購入時のシステムがモデルチェンジをしていると、もうすでに部品がなく修理そのものも困難な場面がでてきます。
全館空調二十数年で完全に御臨終。後継機すら無くメーカーお手上げ。って訳で市販品使ってオリジナルで組み治す。
引用元:X
全館空調は、ハウスメーカーオリジナルのシステムを導入すると修理できる業者も限られます。全館空調の耐用年数は10〜15年と言われているので、その都度費用がかかるのはちょっと気が重いですよね。
⑨故障したら家中が制御不能
これは全館空調にとって致命的なデメリットですが、故障してしまうと家中の気温が制御不能になります。
諭吉〜〜〜っ!こういうのはここぞ!という時に故障するのよ
引用元:X
我が家はこの夏全館空調が壊れて(他に冷房が1台もない)ゆでダコになりました笑
真夏の故障は家の中も外も暑いので、熱中症など命に関わることもあります。
小さなお子さん・高齢の方・ペットがいるお宅はもしもの時の為に扇風機や石油ストーブを備えている人もいました。
「全館空調が故障してひどい目にあった」という経験があると、全館空調いらないと思ってしまいますよね。
⑩虫・ホコリ・カビの心配
虫はおもにフィルター掃除や交換の際に、いっぱいついてて嫌だという理由でした。
全館空調だから網戸をつけないパターンもあり、実際網戸がオプションのハウスメーカーもあります。
その場合は窓からの虫の侵入が心配ですよね。
ホコリが溜まって湿気を吸収するとそこに黒カビが生えてしまい、家中に不快な空気が広がることになります。
全館空調は24時間稼働させることで湿気やホコリがたまるのを防いでいるので、止めずにいるのが対策として有効です。
全館空調のダクトは黒カビだらけと…
引用元:X
特に空調機とダクトの接続部分やその周辺はカビが発生しやすいと言われています。その空気がもし家中にまわったらと考えて、やめたほうがいいのではと心配になる人もいました。
全館空調のメリット
全館空調はデメリットだけではありません。
採用してよかったという声も多いので、その中からメリットを集めてみました。
- 家全体が均一の温度になる
- 快適温度を一年中キープできる
- ヒートショック対策になる
- 結露が発生しにくい
- 花粉症などのアレルギー対策になる
- 部屋のデザイン性が上がる
全館空調は住む人の考え方や生活スタイルに合えば、メリットがたくさんある設備です。
全館空調で迷ったら?後悔しない3つのポイント
ここまで全館空調のメリット・デメリットを見てきました。
もしかしたら「デメリットは理解できたけどまだ迷う」「かえって混乱した」という人もいるかもしれません。
そこで、これさえしっかり確認できれば後悔しないというポイントを3つご紹介します。
①本当に必要かどうか
全館空調は本当に必要かどうか、シンプルですが決定的な判断材料です。
「在宅時間が短い」「家族間で体感温度が違う」など不要だと思う理由がありますか?
「間取りの都合で場所ごとの温度にムラができる」など必要だと思う理由も書き出してみて下さい。
平均的な戸建住宅ならエアコンでも充分ですし、ヒートショックもヒーターなどで対策可能です。家自体の気密性・断熱性に費用をかけたほうが快適性が増す場合もありますので、多角的に判断しましょう。
②本当に安いかどうか
全館空調は本当に安いかどうかもしっかり確認しましょう。
ハウスメーカーのサイトや営業マンは、主にエアコンと比較した電気代の安さをアピールしています。
ただこのデータが「一日中一年中全部屋でエアコンをつけっぱなし」のデータとの比較だと微妙です。
ランニングコスト・メンテナンス費用・オール電化・太陽光発電や蓄電システムとの兼ね合いなど、費用に関するポイントはいくつもあります。大事なことですので、根気強く丁寧に±を算出してみてください。
③本当に快適かどうか
全館空調が本当に快適かどうかはシステムの根幹にかかわるポイントです。
エリアに分けて温度調整ができるかどうか、音やにおいの問題はどうかなどで快適さは全然違います。
温度調整がそれほど必要でない時期は、送風や換気のみなどが可能かどうかもポイントですよ。
暑くても窓を開けられなかったり、快適温度にするために石油ストーブを購入する必要がある場合は快適とは言えません。快適のために導入するのですから、そもそもの理由に立ち戻って考えてみましょう。
全館空調はいらないからやめたほうがいい?デメリットを理解して後悔のない家づくりをまとめ
今回は全館空調はいらないからやめたほうがいい?と迷っている人のためにその理由をあげて解説してきました。
後悔した理由として、デメリットは10こありました。
- 電気代が高い
- メンテナンス費用が高い
- メンテナンスが面倒
- 乾燥が気になる
- 温度調節が難しい
- においが広がってしまう
- 稼働音が気になる
- 修理費用が高い
- 故障したら家中が制御不能
- 虫・ホコリ・カビの心配
デメリットを理解することで新たに検討し直し、採用するかどうかを判断して下さい。
住み心地の良い環境を整えるにはどの選択が良いのか、この記事が後悔のない家づくりのお役に立てたら嬉しいです。
元建設会社の設計部で意匠設計に携わっていた一級建築士。現在は集合住宅や商業施設などの企画・設計を担当する傍ら、ハウスメーカーや建築サイトの記事設計や監修・運営業務も行う。ZEH(ゼッチ)(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)やCASBEE(建築環境総合性能評価システム)といった省エネ基準にも精通しており、専門的な知見から記事を執筆している。